マニアック

オンラインセックスのすゝめ

温かい。

それはきっと、彼女の体温だ。

僕は本気で、そう感じた。

オナホールを使って自分を慰めたことは、これまで何度かあった。

それは確かに気持ちいいものだった。

けれど、こんなに誰かに包み込まれている、とリアルに感じたことは、一度たりともなかった。

こんな風にオンラインセックスをしたことが無いから、とは言えると思う。

けれど、この快感を味わえているのは、きっと彼女とこうしてつながっているからなんだろうというのは、確信に近く感じられていた。

今、彼女の中に入っている。そう感じられるのは、きっと彼女とつながっているからだ。

目を閉じると、本当に彼女と肉体を一つにしているんだと、感じられる。

「あ、ああぁ……」

彼女の中に、コンドームを付けずに生で挿入している。

そんな不思議な感覚と、背徳的な感覚が相まって、僕は今すぐにでも絶頂してしまいそうだった。

でも、今度は彼女が絶頂を迎えるまで待ちたい。

彼女と一緒に、最高の瞬間を迎えたい。そう思っていた。

目を開けると、彼女の動きと僕の動きが、無意識のうちにほとんどシンクロしていることが見て取れた。

僕の肉棒を包み込むオナホールが上下する間隔と、彼女の蜜壺に抜き差しされるバイブが上下する間隔。

それが、ほとんど同じになっていた。

僕たちは、今本当に、自分たちの性器同士をつなぎ合わせている。

そう確信できるくらいには、その動きは同期していた。

画面越しに、彼女と目が合う。

「あぁ、だめぇ」

彼女がそう言った瞬間だった。

パソコンの向こうで、彼女が潮を噴き上げた。

パソコンにかかるのを恐れてか、かなり控えめにではあったが、彼女が絶頂を迎えたのだということは、僕にもわかった。

僕はそれに合わせて、我慢していたものを解き放った。

オナホールの中に僕の白濁液は勢いよく噴出した。

「い、イっちゃいました……」

「僕もです」

ちょっとパソコン汚れちゃいました。

と、彼女は少し困ったように、しかし幸せそうに笑って言った。

「オンラインセックス、良いですね……」

彼女は少し疲れたような表情の中に、微笑みを浮かべてそう言った。

その意見には、僕も全面的に同意だった。でも、少しだけ言いたいことはあった。

「でも、次にするときは」

僕はそこでわざと言葉を切った。

そして一呼吸。

「会いたい、です」

手が少しだけ、震えている。

少しの沈黙。彼女の胸が、一度大きく上下した。

「私も、会いたいです」

僕たちのこれからを、彼女も望んでくれている。

僕はそれが分かっただけで、本当によかった。

………

………

………

その次に会う機会は、思っていたよりもすぐに訪れた。

自粛ムードもかなり和らいでいたし、私が外で会いたくなかったのも、ある種の意地みたいなものだったから、会いたい人がいるのに会いに行かない理由にはならなかった。

………

………

………

街で一緒に食事をして、映画を見て、一日デートをした。

………

………

………

それはもう、とても幸せなデートだったことは言うまでもない。

………

………

………
その日の夜、私たちはついに、本当に交わりあった。

………

………

………

その時の快感はいかほどだったのか。

………

………

………

それこそ、言うまでも無いことだった。

- 了 -

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