「………え、もしかして俺相手なのにガチガチな子って初めてなんだけど。何この天然記念物」
は!?
「カズ、いい加減にしないと店つぶすぞ」
「!!!」
「ひえ、亮太本気になったらこえーし。ジョーク、、ジョークだよ。ね、千鶴ちゃん」
「~~~~」
真っ赤になってあたしは何も言えない。
カズさんが近くになったからじゃない、明るい光の下で存在する亮太さんがかっこよくて……
「千鶴ちゃん、勝手に行こう。おいで」
「あ、は、はい!!」
あたしの手を取って亮太さんはカズさんのところから離れた。
とある個室に入ると、亮太さんはドカッと豪快に座って機嫌が悪そうだった。
やばい、あたしやらかしたか…………
「あの!マスター!」
「亮太」
「ごめんなさい、亮太さん。あの、あたし…………」
「…………カズはいいの?」
「へ?」
「カズは君に近寄ってもいいの?」
「??意味がよくわかりません」
「君は言うよね。なんでもかんでも調子いいやつは嫌いだって」
それはあたしが言う、愚痴の一つだ。
会社の上司の話を思い出しているんだ。
亮太さんは。
「そんな………」
「カズはどっちかというと、調子いいやつだよ?」
鋭い目つきで亮太さんはあたしを見る。
身体中に刺さる亮太さんの視線にあたしは、
若干恐怖すら感じる。
けど、なぜか声が出なかった。
違うのに。
亮太さんは違うってわかってる。
けど………なんでか声に出来なかった。
………
………
向かい合わせて座っていたが、亮太さんはあたしの隣まで近寄ってきて、
押し倒されて互いを見合って、気が付けばあたしと亮太さんはキスをしていた。
「んむぅ、ん」
上半身を撫でられて噛みつくキスをされれば、あたしは抵抗できない。
お酒も抜け切れていないことも正直あるし、
それになにより、相手が亮太さんだから…………
赦してしまう。