マニアック

私のコイビト…

彼には誰にも言えない秘密が・・・

私はいつも早くて8時、遅くても8時30分頃に出勤して、最後は早ければ2時、遅ければ4時ぐらいまでは、お店で働いていました。

それに、脇山さんもお仕事がいつも忙しそうにしていたので、アフターでそのままずっとというわけにもいきません。

なので、彼とデートするためには、お互いが休日の時でしか無理でした。

当時、今みたいに携帯電話が当たり前のようにみんなが持っている時代でなかったので、連絡を取るには自宅の電話番号を交換するしかありませんでした。

なんとか自宅の電話番号を聞き出し、それ以降、映画を見に行ったり、ショッピングにも付き合ってくれたりしました。

また、つい先日は、彼の家に初めて招かれました。

自宅の中はとても整理されて、掃除も行き届いている感じがすぐにわかるぐらい、どの部屋も清潔さが保たれていてビックリ。

まるで彼女がいて、その彼女に部屋の掃除、整理整頓をやってもらっているみたいな雰囲気がしないでもなかった。

まさか本当に他に女でもいるのか・・・、とちょっと疑心暗鬼にもなりましたが、ただのキレイ好きかもしれないし、その時はあまり気にしないようにしました。

そんなことを考えていると、彼がチャチャッと鶏のささ身に梅と大葉のトマトの冷製パスタを作ってくれてごちそうにもなりました。

トマトジュースを凍らしてかき氷状に細かく削ったトマトが、ひんやりシャキシャキですごく美味しかった。

デートではいつも最後は食事をするまではいきましたが、一度も手を繋いだこともなく、まだ完全な恋愛関係になっていたわけではなかったのです。

しかし、彼は焦らず少しずつ関係を育んでいこうという気持ちだったようです。

夏の終り頃、脇山さんは8月31日が勝負の日だと考えていた感じがしました。

なぜなら、その日は私の誕生日だったからです。

ここまで私はプライベートを隠し続けてきましたが、彼のプレイベートのことも、私はまだよく知りませんでした。

というか、脇山さんは何か隠しているように見えたのです。

なかなか恋愛関係に発展しないということは、彼に何かしら言えないことがあるのかもしれない。

ひょっとしたら女でもいるのかもしれない、いや、彼のようなカワイイ男性なら女の1人や2人はそりゃいるだろう。

でも、それでもいい、女がいたって私はその女から奪い取って私のモノにしてみせる。

もし、彼の方から彼女がいると告白されたり、何かしらの理由を言って断られたらその時は潔く諦めよう。

デートに誘われると、いつも利用するレストランで脇山さんと一緒に食事をし、他愛もない話をし終えた時、彼が思い切って話を切り出してきました。

「確か亜由香ちゃんの誕生日は8月31日だったよね。その日、一緒に過ごして祝ってあげたいんだけど・・・、迷惑かな?」

脇山さんは少し不安げに私に尋ねると続けざまに、

「亜由香ちゃんほどのべっぴんさんだから、きっと誰かいい人でもいるのかな?」

と言ってきた。

「そんな人いませんよ。こんな私のような女を好いてくれる男性なんていませんから」

私がそう答えると、

「そんなことないよ。亜由香ちゃんは僕が出会った女性で一番だよ」

彼は気遣うように慌てて返事をした。

「でも、脇山さんてすごくモテるみたいだから、脇山さんこそいい人いるんじゃない
ですか?」

「えっ?」

「だって、ママに聞いたんだもん、女性の扱いが上手だからって」

「ママがそう言ったの?」

「そうよ。今まで何人もの女性を口説いているから、今も何人かお付き合いしている女性がいるかもしれないから気をつけた方がいいよと言ってたから・・・」

脇山さんは一瞬ドキッとして少し焦ったような表情を見せたが、

「あはは・・・、いやまいったな。正直に言うと、確かに自慢じゃないけど、僕は結構モテる方だと思うし、これまでいろんな女性と出会ってきたのは間違いないよ」

痛いところを突かれて開き直ったのかと思ったが、脇山さんは、

「でも、今回は違うんだ!本気で亜由香ちゃんに惚れてるんだ!今は君一筋で他の女性は一切考えていないよ!」

と語気を強めて私の目をジッと見つめながら真剣な眼差しで言ってきました。

その表情はまるで他に男がいようがいまいが関係ないと言った感じに見えました。

「じゃあ、誕生日の夜、私のことを本気で抱いてくれるの?」

「えっ、うーん・・・、まあ、そのー、時間があれば・・・ね」

なんとも歯切れの悪い返事だろう。

「なんかはっきりしないよね」

「その・・・、なんというか・・・、僕、亜由香ちゃんが思っているような男じゃないんだよ」

「えっ、どういうこと?」

「実は、僕には誰にも言えないような秘密があるんだ」

「どんな秘密なの?」

「言えない・・・」

彼は黙り込んでしまいました。

「どんな秘密かは知らないけど、どうしても言えないことがあるんだったら、別に無理に言わなくてもいいよ」

気遣ってそう優しく言った後、もうこれ以上問い詰めると逆効果になると思ったので、それ以上追求することをやめました。

「脇山さんの秘密なんてどうでもいい。どんな秘密があっても驚かない。それより、私は脇山さんと真剣に付き合いたいし、今度の私の誕生日に本気で抱いてほしいの」

「でも・・・」

脇山さんは私の必死のアプローチにとても困って答えを出せなかった。

そんな困った彼を見かねた私は、

「もし、今すぐに答えが出せないのなら、とりあえず一旦持ち帰って、じっくり1人で考えてから返事をくれたらいいよ」

「それでいいの?」

「それでも、やっぱりダメだったら、その時はダメだと言ってくれたらいいから」

「うん・・・わかったよ。一度1人で考えてみるね」

そう言って、その日のデートは返事が出ないまま終わりました。

それでも、私には自信があったのです。

なぜなら、もし本当に断りたければ、その時に絶対に断っていたはず。

それに、どうやら他に付き合っている女もいないようだから、きっとこれはイケるとその時は読んでいました。

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