リンちゃんが実家に来てくれてから1ヶ月後、
彼女から話したいことがあると私に連絡してきた。
結婚式の受付か何かのお願いかと思ってリンちゃんが住むアパート行ったら、
彼女と婚約者さんが困ったような顔で待っていた。
いつも穏やかなリンちゃんの顔には、珍しく怒りの色もあった。
挨拶もそこそこにリンちゃんが話すには、
私の姉が婚約者さんにしつこくアプローチをしてくると言うのだ。
婚約者さんのスマホにしつこく電話やメッセージを送り、
最近では会社前で待つ始末。
それも何時間も。
会社でもストーカーとして噂になっているほど。
婚約者さんは何度も断ったし、迷惑とも告げた。
なのに、全く効果がない。
それどころか、姉は地味なリンちゃんより美しい自分が婚約者さんにふさわしい。
目をさまして、などと言う始末。
リンちゃんの悪口を言われて、
婚約者さんは怒ってかなりきついことも言ったらしい。
それなのに、姉は諦める気配がない。
初めはリンちゃんの従姉だから、婚約者さんは穏便に済ませたかった。
でもこれ以上つきまとわれたら、婚約者さんの精神面もおかしくなりそうだし
何より会社で一部の人がヒソヒソしだしたのだ。
婚約者さんはリンちゃんに黙っていたことを謝りながら、
姉につきまとわれていることを話した。
リンちゃんは腹が立つと同時に、
婚約者さんの親に知られたら絶対結婚を反対されると不安になった。
婚約者さんのご両親は公正な人達だけど、
おかしな親戚がいる女性と結婚させたいはずがない。
姉をボコボコにしたいのはやまやまだが、
できれば自分たちで片づけたいとのこと。
姉によると、婚約者さんの連絡先は四女から聞いたとのことだった。
四女が大学で学んでいる内容は、
婚約者さんの友達が立ち上げた会社で役立つものだ。
実践しながら勉強すれば理解も早くなるということで、
婚約者さんが実家に来た時にバイトの口利きをしてみようと申し出てくれた。
それで四女は婚約者さんと連絡先を交換していた。
四女は世間知らずなところがあるが、
人の連絡先を安易に教えるような性格ではない。
むしろ、私達姉妹の中では1番慎重な性格。
それはリンちゃんも知っているので、四女が教えたというのは信じていない。