●ちょっと、みんな見てるってば!
高校生最後の体育祭の当日、私と直人は他の生徒よりも早めに登校し、体育祭実行委員
としての仕事をこなしていた。
「いやぁー、麻衣子ちゃん、今日のブルマ姿も素敵だね」
そう言いながら、直人は私のお尻を軽くタッチしてきたのです。
「ちょ、ちょっと、何するのよ!バカなこと言ってないで、さっさと準備するわよ」
「エヘヘ、ごめんごめん」
本当に困ったものだ。
今日の体育祭で、実行委員の仕事をする以外に、私と直人は、二人三脚と騎馬戦に一緒に
出場することになっている。
二人三脚の競技の時間が来たので、私と直人は、入場門前に集まり、出番を待っていた。
二人三脚と言えば、2人1組になって内側の足首を紐で結び、肩を組んで体を寄せ合い
ながら、歩くリズムを合わせて走る競技。
これを直人と一緒にするわけだけど、この競技に彼と出場することが決まってから、
ずっと嫌な予感しかなかった。
案の定、その嫌な予感は的中する。
練習の時からその兆候はあったんだけれど、まさか、観客が多くいる体育祭本番で練習時
以上に大胆な行動に出るとは思ってもいませんでした。
入場してスタート地点に出場選手全員が整列すると、スタートに向けて準備を始める。
「麻衣子ちゃん、右足出して。俺の左足と紐で
直人がそいう言ってきたので、私は右足を出すと、直人が私の右足と彼の左足を紐で結ん
でくれた。
スタートまでまだ5分ほどあったので、事前に、軽く練習をしてみる。
「いくよ、せーの、いっち、に、いっち、に・・・」
直人の掛け声に合わせて、私たちは5メートルほど試しに走ってみた。
「あっ、いいじゃん!今日は何だか調子良さそう、いけるんじゃない?」
「ホント!練習の時とは全然違うよね」
そう、私と直人の二人三脚は、練習ではボロボロで、ちょっと進むたびに、転びそうに
なって断トツに遅かったのだ。
それがどうしたことか、本番直前に軽くやった練習とはいえ、ノーミスだった。
しかも、練習時には、私のお尻をどさくさにに紛れて触ってきた直人は、今やった練習
では、一度も触ってこなかったのです。
これはイケるかも、大勢の前で何度も転んで恥をかき、最下位になるのだけは嫌だ。
………
………
そして、期待を膨らましながら臨んだ本番。
結果はどうだったかと言うと・・・、私の期待は
私と直人の順番が回ってきて、スタートラインにつく。
すると、突然、直人は私の体を今までの練習以上に、グイッと力強く彼の方に引き寄せた
のです。
この時の姿勢から、もうおかしな感じになっていました。
通常、二人三脚の姿勢というものは、お互いが相手の肩に手を回すことで、上手くバラン
スを保ちながら、前へと走ることができます。
当然、男性の方が背が高いので、背の低い方の女性が男性の腰辺りに手を回すことはあっ
ても、背の高い男性が腰の方に手を回すことはなく、必ず手の位置は肩になるはず。
ところが、直人は私の肩ではなく、私の腰に手を回してきたのです。
しかも、お尻に少し指がかかっているというか、ほぼお尻の位置に手がある状態。
スタート直後は、お尻の外側辺りを少し遠慮がちに触っていたのだけれど、前に進むに
つれて、その手は徐々に内側の尻肉に近づいてくる。
そして、スタートしてから10メートルほど進んだ時だった。
「キャッ!」
今まで、ずっと合っていたお互いの歩調が崩れて、突然、躓いて転びそうになった瞬間、
ビックリして私がそう叫ぶと、
「危ないっ!」
と言って、直人は転びそうになった私の体を支えてくれたのです。
「麻衣子ちゃん、大丈夫?」
「ご、ごめん、私は、大丈夫・・・」
直人が両手で支えてくれたおかげで、片膝を地面について、少し擦り剥いただけで済みま
したが、立ち上がろうとした瞬間、何か下半身に違和感を感じました。
転んだ直後は、大勢の前だったので、只々、恥ずかしい気持ちの方が勝っていて、擦り剥
いた膝の痛みなんて、競技が終わるまで全く感じなない。
早く立ち上がって、再スタートしたいと思っていましたが、下半身のむんずっという感触
と共に、ゾクゾクッとした感覚が襲ってくる。
一体何が起きていたかというと、転びそうになった私の体を支えてくれた直人の両手のう
ち、左手は私のお尻をガッチリと鷲掴みしていたのです。