そんな平凡な人生を送ってきた私だけど、ちょうど10年ほど前に、ある一人の男性と
淫靡な関係になったことがありました。
当時、40歳になったばかりの私は、新しい引っ越し先を探している時で、少しでも安い
アパートを探していたところ、不動産屋さんにあるアパートを紹介されたのです。
そこは、2階建てで、部屋が8世帯だけの小さなアパートで、私は1階の一番奥の部屋を
借りることにしました。
本当は防犯面のことを考えれば、2階の部屋を借りたいところでしたが、2階は全て
埋まっていたので仕方ありません。
私が借りた部屋の隣は、すでに一人の男性が住んでいました。
どんな人が隣に住んでいるんだろうと、挨拶をするまでは不安でしたが、なかなか挨拶が
できない。
ただ、表札を確認すると、
私も結構早朝に仕事で家を出るんだけど、徳山さんはもう少し朝が早いらしい。
引っ越してきてから数カ月たつけど、未だに徳山さんとは、挨拶をすることができない
でいたのです。
ところが、私が引っ越してきてから、ちょうど1年がたった3月中旬の頃のこと。
たまたまゴミ出しが普段より30分ほど早かったその日。
私が玄関のドアを開けた時、隣から聞こえてきたガチャッという音とともに、徳山さんの
部屋のドアが開いたのです。
チラッとお隣の徳山さんの部屋の方を振り向くと、そこには、1人の20代前半くらいの
若い男性が立っていて、
「あっ、おはようございます」
とこちらを向いて挨拶をしてきました。
突然バッタリと鉢合わせになり、思わず私も、
「えっ、あっ、お、おはようございます・・・」
と少し緊張気味に、頭を下げて挨拶を返したのです。
その日は、ほんの数秒の挨拶を交わしただけだったけど、徳山さんの顔をようやく確認
することができました。
怖い人だったらどうしようかと思っていたけど、なかなかの好青年。
しかも、私の好みのタイプでもあったのです。
ホッと安心したのと同時に、胸がキュンと鳴る感覚を覚えました。
そう、私は一瞬で恋に落ちてしまったのです。
それから、1ヶ月後の4月中旬のある日。
突然、会社から電話で連絡があり、翌日、私は普段よりも、30分早く出勤しなければなら
なかった。
そう言えば、この間、ゴミ出しの時間がいつもより30分ほど早かったけど、ちょうどその
時と同じ時間に、出勤することになるなと思いました。
ということは、たまたまその時に、偶然鉢合わせになったお隣の徳山さんとは、同じ時間
に、出勤することになるのです。
これは願っても無いチャンス。
偶然を装って鉢合わせになり、どこまで一緒になるかわからないけど、行けるところまで
一緒に歩こうと考え、明日の準備をすることにしました。
私は少しでも徳山さんの気を引こうとして、明日着ていく服装は、サイズの小さいブラウ
スに決定。
そうです、私が最近嵌っている、街中の擦れ違う男性を誘惑するために来ている、あの
ぴったりした小さめのブラウスです。
これに、ボタンを外して胸元を開け、胸の谷間が見えそうな状態にしておく。
そして、膝上丈の長さのタイトスカートを穿いて、準備OK。
さあ、明日は早いから、少し早いけど、もう寝よう。
