マニアック

母親代わりのアラフォー婦人の快楽レッスン

●お隣さんは私と同じ境遇の男性

仕事が終わって自宅に帰ったけど、まだ、徳山さんは帰ってきていないようだった。

今朝のこと、気にしていなければいいんだけど・・・。

徳山さんのことが少し心配になりましたが、帰ってくるのが遅くなるみたいなので、
その日は、もう彼に会うのを諦めることにしたのです。

翌日は土曜日で休みだったので、私は自炊して夕飯にカボチャの煮物を作りました。

ただ、たくさん作りすぎてしまい、私一人では、どうしても食べきれそうにありません。

余って腐らして捨ててしまうのは勿体ないなぁ・・・、あっ!そうだ!お隣の徳山さんに
お裾分けしよう。

今日は土曜日だから、徳山さんもお休みで家にいるはずだし。

ついでに、昨日のこと、あまり気にしないようにと伝えてあげた方がいいよね。

意地悪して誘惑したのは、私の方だもの。

そう思った私は、早速、タッパーの容器にカボチャの煮物を詰めて、お隣の徳山さんの
部屋の前まで持っていきました。

 

昨日のこと、好きな徳山さんに会えること、そして、料理が彼の口に合わなかったらどう
しよう・・・、等々、いろんな意味で、私は緊張しながらインターホンを押す。

「はい、どちら様ですか?」

「あっ、隣の増岡ですけど、夕飯のおかずにカボチャの煮物を作ったんですけど、作りす
ぎちゃって。捨てちゃうのは勿体ないから、もしよければとお裾分けにと思って・・・」

「えっ、いいんですか?今、行きますから、ちょっと待っててください」

そう言うと、徳山さんは玄関のドアを開けてくれました。

「これ、カボチャの煮物ですけど、よかったらどうかと思って。徳山さんのお口に合うか
わからないけど・・・」

「うわぁ、嬉しいなぁ!僕、いつも帰りが遅くなって、自炊なんかできないんですよ。
だから、すごく助かります」

「本当?よかった。こんなカボチャの煮物なんかじゃなくて、もっとオシャレな料理とか
の方がよかったんじゃない?」

「いえいえ、そんなことないですよ。いつも外食ばかりだから、手料理なんて久しぶり
なんです。ずぅーっと飢えてたんですよ、こんな手料理に」

「そうなんだ。じゃあ、ゆっくり食べてね。タッパーはいつでもいいから」

「はい、わかりました」

「じゃあ、またね・・・」

「あっ、ちょ、ちょっと・・・」

私が帰ろうとした時、徳山さんは慌てて私を呼び止めました。

「どうかしましたか?」

一瞬間を置いてから、徳山さんは再び口を開き、

「あ、あの、昨日は、ごめんなさい。言い訳だと思われても仕方ないけど、電車が揺れた
ので仕方なく・・・」

徳山さんがあまりにも申し訳なさそうな顔で頭を下げて謝罪してくるので、私はちょっと
気の毒になって、

「そ、そんな、謝らなくてもいいですよ。全然気にしていませんから。大丈夫ですから、
顔を上げてください」

と徳山さんを気遣う言葉を言い、その場を収めました。

昨日のあの時は、すし詰めの満員電車だったし、どちらかと言えば、誘惑した私の方が
悪いんだから。

むしろ、私が謝るべきところを徳山さんに謝らせてしまったような気がして、私の方も
何だか申し訳ない気持ちになってきたのです。

 

次の日の日曜日の朝、徳山さんはキレイに洗ったタッパーを返しにやってきました。

「すごく美味しかったです!増岡さんって、料理上手なんですね。やっぱり、家庭料理っ
ていいですね」

「それはよかったわ。ちょっと味付け濃かったんじゃない?」

「いやいや、全然そんなことなかったですよ。食べ終わるのが惜しいと思ったくらいで。
でも、美味しすぎて、あっという間に、全部なくなっちゃいました」

「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃないですか。そうだ!こんなのでよければ、また
作って持っていきましょうか?」

「えっ、いいんですか?ぜひ、お願いします!」

「わかりました。また作って持って行きます。あっ!そうだ!何なら夕飯だけでもウチに
来て食べればいいじゃないですか。どうです?」

「ほ、本当ですか?でも、ご迷惑じゃ・・・」

「全然迷惑じゃないですよ。どうぞ、気にせずにいらっしゃってください」

「それに、夕飯だけとはいえ、毎晩、ご馳走になるのは申し訳ないというか・・・、食費
だって増えて馬鹿にならないから、負担をかけてしまいそうだし・・・」

「大丈夫ですよ、私は独り身ですから。特に、趣味とかもないですし、お金はドンドン貯
まっていく一方ですし、どうせいつも作りすぎて余っちゃうくらいですから」

「そ、そうですか、じゃあ、お言葉に甘えて、夕飯だけご馳走になります」

「よしっ!決まりね!明日から毎晩、夕飯作って待っているから。そうね・・・、なら、
夜の7時にいらしてください」

「7時ですね、わかりました。楽しみにしています」

「その時間に合わせて、食べれるように準備しておきますから」

こうして、その日以降、徳山さんは毎晩、私の部屋に夕飯を食べにくるのようになった
のです。

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