マニアック

求める身体

あたしは度肝どぎもを抜かれた気持ちだった。

「みーゆっ!紹介するね!この人はあたしの‥‥パパなの!」

ナニヲイッテルンデスカーー!!!

「な、え、まって、ね、ぇ、倫子!?」

「驚くのも当然だよね。隠してたから」

「ともちゃん今日はお友達連れて来てくれたんだね」

「うんっ!パパも一人連れて来てくれたよね!」

「もちろんだよー。あ、ほらこっちに走ってきてる!」

頭の整理が出来ない。

なにも話してるの?

あたしはこれからどうなるの!?

「すみません部長。遅れました!」

「いいよいいよ。それよりこの子が私のかわいい子ちゃんで、こちらは‥‥‥」

「あたしの友達の美憂ですー!」

勝手に話が進むし。

「いつものステーキ屋さん行こうか」

「‥‥‥ステーキ?」

あたしの耳は聞き逃さない。

そこを狙って倫子はあたしに耳打ちをした。

「このままご飯行くって言えば、あんたが好きなステーキが食べ放題だよ」

「う‥‥‥いきたい、です」

「はい決定ー!!パパ、ステーキ屋さん行きたい!」

「いいぞぉ。そうだった、この彼は私の部下の達哉たつやだ。」

「よろしく」

あまりのっていなさそうな彼、達哉さん。

眼だって特別かっこいいわけでもないけど、なんだか安心できる雰囲気の人。

 

わー、大人だなー。

って‥‥‥この状況の説明してほしいんだけど。

ご飯おごってもらうだけ?

ほんとうに?だったらなんで人数あわせしたん?

まさか‥‥‥まさかじゃないよね。

「美憂!ステーキ行くよー!」

身体が固まる。

なんだか怖いよ。

そうすれば達哉さんは、腰に少しだけ手を当ててにっこりと笑い、

「行きましょうか」と言ってくれた。

なんだか気分が良くなった感じがした。

これが‥‥‥大人の魅力ってやつか。

「はい、行きます!」

‥‥‥

‥‥‥

ご飯を食べているよ。

あたしの隣には倫子がいて、あたしの向かいには達哉さん。

黙々と食べているのはあたしと達哉さんだけだ。

倫子とパパさんはずっと会社の話やら、学校の話やら、

慣れてる雰囲気で話し合っている。

あのさ、もしもこの後「ホテル!」とか言われたりしないよね?

だってまるで今流行りのパパ活みたいな感じじゃんか。

一抹の不安を消せないまま、あたしは正直においしいと叫びたいほどの、

おいしいお肉にほくほくしているんだ。

食べていれば、なにやらニヤニヤとあたしをみる倫子。

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