マニアック

求める身体

………

………
「なによ」

「あんたってほんとステーキ好きだよね」

「うん」

「よし!車着いたらいいところに案内してあげるから、目隠し目隠し♪」

「はぁ!?」

「夜景がきれいなの!忘れられない夜になるよ!ね、パパー!!」

「任せてくれよ」

「美憂は前から写真とか好きだから、連れて行きたかったの!」

ワクワク。本当にあたしは趣味として他の人に自慢したいくらいの写真love人間だ。

あたしは楽しみになってきて、心躍りながらまたステーキをほおばった。

それからご飯も食べ終えて、話もして、車に戻ることに。

会計時は女性はいなくていいから、車に乗っててと言われた。

なんて幸せな日なんでしょうかー!!

感動していると、男性二人は戻ってきた。

「喉が渇いたー。パパ、コンビニのコーヒー飲みたい」

「いいよぉ」

なんでも言いなりだなぁ‥‥‥まぁいいけど

「コンビニ行ってくる!パパ、ふたりで行こう!」

「あぁ」

「え、倫子??」

「美憂は待ってて!」

気まずい雰囲気になるあたしと達哉さん。

少しだけ打ち解けつつあったけど、二人きりは苦しいところが正直な心だ。
………

………

「えっと‥‥達哉さんって、おいくつですか!!!???」

これがあたしの精一杯なトーク力。

「俺は25です」

「見えない、です。びっくりしました」

「‥‥美憂ちゃんって本当に顔に出るね、感情が」

「え?」

「ステーキ食べてるときも、疑ってるう表情とか幸せな表情とかしてた」

「お、お見苦しいものを‥‥‥」

「いや、素直でかわいいよ」

‥‥‥。

やばいから。大人って怖い生き物だわ。

それからは少しだけだけど、距離感狭めることができたっぽい。

「おまたせお二人さーん!これ美憂の好きなレモネード!」

「ありがとう!」

あたしは何も考えず、乾いた喉にレモネードを流しいれる。

達哉さんはコーヒーだ。
………

………
この時、実は運転席のパパさんと倫子が見合って笑っていたことを知らない。

車に乗り込んで飲み物を飲んでいれば、さきほど言っていた

「目隠し」をあたしと達哉さんはされた。

どんな夜景が撮れるのかと心のワクワクが止まらなくてたまらない。

 

車が駐車した。

ゆっくりとパパさんと倫子の指示通りに動いていた。

動いていれば、徐々に呼吸が荒くなってきた。

胸がどきどきして、身体の芯があったかくてしかたがない。

どうしたものか‥‥‥。

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