「ほっといて!!」
あたしは気が付けば叫んだ。
あーもーほんとこういうの嫌だ。
この時あたしは生まれて初めて誰かに声を張り上げた。
「
‥‥‥?」
「‥‥‥ごめん。一人にして‥‥‥」
「‥‥‥あとでLINEする」
「いってらっしゃい」
………
………
あーあ‥‥‥
やっちゃった。
あたしが声出すなんて‥‥‥。
過去に例はないよぉ。
慌てたあたしはたけるが出て行ったことを確認してから、お母さんに電話した。
………
………
「え!?静音が大声を出した!?」
職場にはあたしたち共通の同僚がいるのだ。
どうやらその人にあたしのことを愚痴っている‥‥‥みたい。
「‥‥‥俺‥なんかしたか‥‥‥」
「ってかさー。気づきなよアンタ」
「え??」
「アンタと暮らしてるのは彼女じゃなくて奥さんなんだよ」
いいぞ言え言え!!
「あんまり苦労させてたら離婚なんてことにもなるからね?」
「‥‥‥」
ありがとうございます、だわ‥‥‥。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
お母さんとあたしは電話で話した。
帰ってくるようにと言われたけど、あたしは‥‥‥。
たけるを置いてどっか行けない。
って答えたら、お母さんは笑った。
それはたけると同じ気持ちだったんだよって。
あたしを置いていくなんてしないのが、たけるくんなんだって。
本当に似てる夫婦だこと、って嫌味っぽく言ってた。
そうだよね。
同じ立場なら置いていくなんてしない。
あーあ。
変に
バカだあたしは。
ちゃんと夫を‥‥‥たけるを見てなかった。
気が付けばあたしはベッドから起き上がって、
着替えてたけるの迎えに行くことにした。
たけるに知らせようとは思った。
けど忘れてて無我夢中で駅まで走った。