●スボンの中で欲棒がカチカチに
翌日の月曜日の夜。
今日は、久しぶりに残業で帰宅する時間が2時間遅くなってしまったこともあり、
約束の夕飯の準備は、どうもできそうにない。
どうしよう、きっと、徳山さんは待っているだろうなぁ・・・。
今から帰って急いで夕飯の準備をしても間に合わない。
私はいつも、午後3時までパートのお仕事をして、毎日、帰宅途中のスーパーで、
夕飯の食材を買い物して帰るのだけど、家には5時頃に着く。
でも、今日は、2時間の残業だから、家に着くのはちょうど夜の7時頃になる。
これじゃあ、絶対に間に合わない。
考えた私は、今日はスーパーでお惣菜やらお酒、おつまみなどを買っていき、そのまま
徳山さんの家に寄って、それを夕飯とすることにしよう、と決めたのです。
唐揚げ、コロッケ、ハンバーグ、焼き鳥、刺身、ソーセージ、チーズ、枝豆、生ハム、
ポテトチップス、といったお惣菜やおつまみに、缶ビールも2本購入。
適当に選んで買って、夜7時に間に合うよう急いでアパートに向かう。
急いで帰ってきたおかげで、6時50分に着いて、何とか間に合った。
駆け足で帰ってきたので、まだ息を切らしたままだ。
そして、呼吸を整えて、夜7時頃に、徳山さんの部屋を遠慮がちにノックしてみる。
コン、コン、コン。
ドアをノックすると、徳山さんが出迎えてくれた。
「あれっ?もう少ししたら、そちらに向かおうとしていたんですけど、どうしました?」
「あのね、申し訳ないけど、お仕事が残業になってしまって、今日の夕飯は作れなくなっ
たから、スーパーでお惣菜とか買ってきたんだけど・・・、それでいいかな?」
「あぁ、全然いいですよ。増岡さん、お仕事が忙しかったんですから、仕方ないですよ」
「ごめんね。明日からは、頑張ってもっと美味しいの作ってあげるから」
「あはは、また明日、楽しみにしています。あっ、そうだ!だったら、増岡さんの部屋に
行く必要がないから、よかったら上がってウチで夕飯食べませんか?」
と徳山さんが提案してくれた。
「じゃあ、後でお邪魔します。ちょっと着替えてくるので」
一度部屋に戻り、10分ほど過ぎた頃に、私はいつも寝る時に着ているパジャマ姿に着替え
てから、徳山さんの部屋を訪れました。
先程スーパーで買ってきた、お惣菜やおつまみ、そして、缶ビール2本も持っていき、
それを徳山さんに手渡します。
すると、私のパジャマ姿をジッと見つめている徳山さん。
「あっ、驚かせてごめんなさい。帰ってすぐ寝れるように、こんな格好で来ちゃった」
「い、いえ・・・」
私は徳山さんの部屋に初めて招かれて、興奮と嬉しさがが入り交じっていたが、彼は驚い
た様子で、そう返事するのが精いっぱいだったようだ。
部屋の中に招かれて、買い物袋を置いて、リビングのソファに横並びで座る。
すると、突然、徳山さんが話を切り出し、
「あ、あのー、昨日のことなんですけど・・・」
「えっ?あぁ、全然気にしていないから、私の方もごめんね。いきなりあんなことして、
私のこと嫌いになっちゃったかな?」
「い、いえ、そんなことは・・・、ぼ、僕、どうしたらいいかわからなくなって、つい
あんなことしてしまったんです・・・」
「もういいから、さあ、そんなこと忘れて夕飯にしましょうよ!おつまみやビールだって
あるし」
私がそう言うと、徳山さんは笑顔を取り戻し、時間がたつにつれて会話も盛り上がり、
彼は意外とお喋りで、話す内容も面白い。
夕飯に買ってきたお惣菜やおつまみを全て食べ終わり、缶ビールも飲み干した。
気が付けば、時計はすでに0時を回っていた。
ふと周りを見渡すと、徳山さんの部屋は、小さなソファとテーブル、テレビ、扇風機、
冷蔵庫があるだけ。
ベッドはないようで、徳山さんが言うには、万年床は昔から嫌なので、布団は押し入れに
しまってあったようだ。
もし、この後、事に及んだ場合、このソファじゃちょっと小さすぎて狭い。
かと言って、わざわざ布団を敷いている時間も勿体ない。
ならば、私の部屋に誘ってみようか。
私の部屋なら、ソファは大きめだし、何と言っても、シングルだけどベッドがあるから。
よしっ!そうしよう。